古里

黒い煙が空を覆い
黄色の風が吹き
緑色の雨が降る

魔は赤く目を光らせ
矢を私に向け構えている

防ぐ術はない
射抜かれた心臓は
激しく鼓動する

抗う術はない
毒は体内を巡り
脳を破壊する

意識が消えかかる
その時
叫ぶ声が聞こえた

ダイブしろ
心の海へ
ダイブしろ

意識と無意識の狭間で
体が反応したのか
引きずりこまれたのか

目を覚ました時
海の底で
鎮座する古里が
優しく
両手を広げていた
苦いぬくもりに
私は抱かれ眠った